愛しあって結婚した夫婦。できることなら、いつまでも仲良くしていきたいですよね。
結婚すると、生まれ育った環境が違う者同士家族となり、一緒に暮らしていくことになります。
長く一緒に暮らしていると、時には「もう、この人とは一緒に暮らせない」と思うこともあるでしょう。そんな時、家庭内別居を選択する人も珍しくありません。
実は、意外に多い家庭内別居。
男女の出会いのためのメディアe-venz(イベンツ)を運営するノマドマーケティング株式会社の調査によると、44%の夫婦が家庭内別居を経験しています。
この記事は、家庭内別居中でこのままでいいのか悩んでいる方、家庭内別居するか悩んでいる方に向けて、今後の方向性がみえてくる内容になっています。
この記事を書いた人
ライター歴1年。北海道出身。夫婦カウンセラー、家族療法カウンセラー資格保有。読み手の感情に響く執筆を心がけています。自分自身、正反対夫婦の価値観の違いで悩み、心理学の学びを深め克服。
この記事の目次
家庭内別居とは
家庭内別居とは、夫婦関係が悪化しているけれど離婚を選択せず、お互い干渉しないで一緒に暮らす夫婦関係をいいます。
夫婦関係が悪化しているので、夫婦の会話なし、顔を合わせない、一緒の時間を過ごさないので寝食を共にしないで暮らします。
ただし、家庭内別居に明確な定義がないので、食事を作ったりするケースもありますが、基本的に関心がないので会話はないでしょう。
家庭内別居と似ている状態として「仮面夫婦」がありますが、同じようで異なります。
仮面夫婦は、会話がなく関係が冷めていても、寝食を共にして相手のための家事をすることもあります。そして、親や友人など第三者がいる前では仲の良い夫婦を演じます。
お互いに対して、関係が冷めて愛情・関心がないことは共通していますが、仲の良い夫婦を演じるという点は大きく異なります。
家庭内別居のきっかけ
一緒に暮らしているのに、会話なしでギスギスした状態。
なんだか、想像しただけでも居心地が悪く、険悪な雰囲気を感じますよね。
それでも、家庭内別居を選ぶのはそれぞれ複雑な事情が絡んでいるからです。
どんなことがきっかけで、家庭内別居になるのでしょうか。
夫婦喧嘩をしたとき
夫婦喧嘩になった時、お互い歩み寄らないでいると夫婦の溝がどんどん深まっていきます。
イライラが募り、「もう、顔もみたくない!」という思いからお互いを避け、顔を合わさないようにしているうちに、そのまま、家庭内別居に発展するケースもあります。
コミュニケーション不足やマンネリを感じたとき
長年一緒に暮らしていくと、単調な毎日にマンネリを感じることもあります。
マンネリ化していくと感謝の気持ちも薄れ、新鮮な気持ちもなくなるので、お互い関心がなくなっていきます。
相手の話に興味がもてず、会話も続かない。コミュニケーションも減っていくので、いつのまにか家庭内別居になっていたというケースもあります。
浮気をされたとき
浮気をされると、相手への気持ちが一気に冷めることもあります。
生理的に相手を受け付けなくなり、距離を置いているうちに家庭内別居に発展していたというケースもあります。
価値観・性格の不一致
結婚当初は、あまり気にならなかったことも知らず知らずのうちに小さなことが積み重なっていることもあります。
考え方・価値観が違うので、「なんで、わかってくれないの!」とぶつかることも多いでしょう。
なかなか伝わらないので、伝えることに疲れを感じ、心の奥では納得しないまま心に蓋をして淡々と生活をしていく。
そんな毎日を重ねていくと、気が付いた時は想像していた以上に我慢の限界になっていることがあります。
今までの感情が溢れ「もう、我慢の限界!」となり、家庭内別居に発展するケースもあります。
価値観・考え方が違うので、一緒に楽しむ時間をもてないことも二人の距離が離れていく原因になると考えられます。
家庭内別居中の夫婦や子どもの心理
空間を分けているとはいえ、会話がなく夫婦関係が冷めきっている状態で、同じ空間で暮らすのは精神的ストレスを感じることです。
家庭内別居中の夫婦や子どもは、どんな心理状態なのでしょうか。
夫婦の心理
愛情が冷めきっていると、相手の悪いところに目がいったり、気になったりすることが多くなるでしょう。
仕事をしている場合、仕事で疲れているのに家庭でも居心地が悪いと、休まる場所がなく心身ともにダメージを受けるようになります。
また、子どものことや、先がみえない未来を想像して不安に思うこともあるでしょう。
一緒に暮らしているのに会話がなく無視されている状態が続くと、自分がここにいることを認めてもらえないように感じるようになります。
本来、心休まるはずの家庭がないのは精神的に辛いことですよね。
子どもの心理
子どもは敏感なので、両親の不仲を察知し違和感を雰囲気で感じとります。
子どもがいる場合、子どもの心理状態にも配慮することが大切です。
子どもにとって、大好きな両親。
両親が不仲だと、どちらかと一緒にいるとお父さん又はお母さんを傷つけるかもしれない。「いったい、どっちについたらよいのだろう」と、苦しい気持ちをかかえることもあるでしょう。
又、両親の顔色をみて話しかけたり、両親に気を遣ったりする生活にもなり得ます。
子どもがいる場合、家庭内別居は子どもへの悪影響も考えられるので慎重に進め、できるだけ普通の夫婦を心がけ夫婦関係を修復することに力をいれていきたいところです。
夫婦間の会話なしでも家庭内別居を続けるメリット
夫婦関係が悪化して会話なしの状態が何年も続くようなら、離婚した方がよいのだろうかと、悩む方も多いのではないでしょうか。
見極めが難しいですよね。
記事の冒頭で紹介した調査結果によると、家庭内別居後の離婚率は83%で、残りの17%は家庭内別居を継続しています。
離婚する人の方が多いですが、離婚しない人も存在します。
会話なしの状態が続きても離婚しないで家庭内別居を続けるメリットとしてどのようなことがあるのでしょうか。
経済的・金銭的負担が軽減する
家庭内別居は法律上、夫婦なので住む場所もあり生活費も分担できます。
しかし、離婚すると家賃や生活費を自分で何とかしないといけないので、経済的負担がのしかかってきます。
世間体を気にしないですむ
家庭内別居していることを本人が言わない限り、周りに知られることはありません。
夫婦関係が冷えきっていても気付かれず、世間体を守ることができます。
しかし、離婚となると苗字も変わり様々な手続きが必要になるので、職場や学校に離婚報告をしないといけません。
また、離婚することにより近所の人が噂するなど、周りや親族の目も気になります。
子どもの生活環境の変化が少ない
子どもがいる場合、家庭内別居は引っ越しをしなくてよく、子どもの苗字も変わらないので、子どもの生活環境の変化は少ないです。
子どもが社会人として成長するまでなど、離婚せず家庭内別居を選択することも多いでしょう。
修復できる可能性が残る
冷めきっている夫婦ですが、一緒に暮らしているうちに心変わりする可能性も考えられます。
夫婦間の会話なしの状態で家庭内別居を続けるデメリット
逆に夫婦間の会話がない状態で過程内別居を続けるとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
子どもへの悪影響
この家で育つことが、子どもにとって宇宙のすべてなので、家族関係の影響は大きいです。
家族とは、子どもが子どもらしく安心することができ、十分な愛情を感じる場所です。
夫婦仲が悪い家庭で育つと、その機能がはたされないので無意識の領域にある潜在意識に夫婦仲が悪い影響が刷り込まれ、大人になって生きづらさを感じることもあります。
まず、結婚に対する悪いイメージをもつことが考えられます。
両親は子どもにとって、一番身近な人間関係の見本になります。
夫婦仲が悪いと、仲の悪い家族関係しか学ぶことができず、幸せな家庭を築く方法がわからなくなります。
そして、子どもは大人のコミュニケーションをみて育ちます。
夫婦仲が悪いと、建設的なコミュニケーションのとり方がわからないので、自分の意見を一方的におしつけたり、相手に寄り添おうとしなかったり、不健全なコミュニケーションになるでしょう。
他にも、「両親が不仲なのは、自分のせいかもしれない」と思い自己肯定感が低くなったり、人間不信になったりする可能性も考えられます。
子どもの前で、言い合いをしないように注意し、パートナーに対する伝言も子どもを介して伝えないようにしましょう。
ある程度、理解ある年齢になった時、今後の見通しについて家族で話し合う配慮も大切です。
精神的ストレスになる
会話なしの状態で、コミュニケーションを取らず一緒に暮らすのは精神的に辛いものです。
同じ家にいるだけで、日常生活のストレスになります。
中にはうつ病などの精神疾患を発症する方もいらっしゃいます。
家庭内別居していても夫婦円満でいるためのルール
家庭内別居することは、よくないこととは限りません。
少し距離をおくことで、客観的になり冷静な気持ちになることもあります。
家庭内で独立した生活を体験することで、お互いの大変さを感じることもあるでしょう。
お互いストレスを感じることが少ない住みやすい状況を作り、家庭内別居を進めると円満な家庭内別居生活を送れるのではないでしょうか。
自分の時間を大切にすること。わりきること。心に余裕を持つことがポイントに感じます。
そのために、生活のルールを決めてから家庭内別居をスタートすることが大切です。
家事の分担を決める
食事や洗濯など家事を分担する場合、担当を決めておくと良いでしょう。
使用する時間を決めることにより、顔をあわせるタイミングもずらすことができます。
子どもの接し方
家庭内別居に、子どもを巻き込まないように、子どもの前ではできるだけ普通を心がけ影響を最小限にできるよう配慮することが大切です。
子どもにとって大好きな両親が、会話なしの状態が続くのも辛いものです。
会話なしの状態とはいえ、挨拶やお礼の言葉は交わすようにしましょう。
大人でも自分の好きな人の悪口は聞きたくないものです。子どもの前で、相手の悪口は言わないことも約束したいですね。
お母さんの前でお父さんの話を、お母さんの前でお父さんの話を気軽にできる雰囲気・環境作りをしていきたいですね。
子どもにとって家が辛い場所にならないよう、子どもの前では普通を心がけ良い夫婦を演じる努力が求められます。
家庭内別居をする期間を決める
期間を決めないと、ゴールがみえずダラダラと家庭内別居が続いてしまう可能性があります。
期間を決めておくことで、今後の見通しがたち行動が明確になっていくでしょう。
夫婦関係には様々な形があります。
同居人とわりきり、干渉しない方が生活しやすい。相手のために家事をしなくなり、自分の時間増えた。など、メリットを感じながら、円満な家庭内別居生活を送っている方もいます。
まとめ
「会話がない状態で家庭内別居しているなら離婚した方がいい」「私は離婚してよかったと思ってる」など、アドバイスをもらうこともあるでしょう。
しかし、一番大切なのはあなた自身がどうしたいかです。
どんな人生を歩んでいきたいか、自分は何を大切にしているか向き合っていくと、この先の方向性がみえてくると思います。
家庭内別居を続けるにせよ、離婚するにせよ、お互いの気持ちや思いを伝えあい、どちらかが我慢するのではなく、お互い納得できる形で進めていきたいですね。
さまざまな夫婦の形があっていい。
自分たちにあう夫婦の形をみつけて、一度きりの人生、自分が主役の人生を歩んでいきたいですね。